遊び

12月のできたよ!

12月のできたよ!は、現在特別支援学級に通っている次郎くんの遊びのスキルの様子です。

余暇スキルというのは、生涯に渡り大変重要なスキルであり、未就学の時期や小学生にとってはおもちゃで適切に遊ぶことが余暇スキルのうちのひとつとなります。ABAのプログラムでは、必ずパズルやブロック遊びなどのおもちゃのスキルを増やす課題がありますが、大切なのはまず指示を出して横で見ていたら一人でやることが出来るようになること、そしていずれはレパートリーを増やし、大人の指示がなくても遊べるようになるところまでもっていくことです。

親御さんより

ABAを始めた当初からの悩みのひとつに、余暇スキルがありました。

これといって好きなキャラクターもなくテレビなども見ない、絵本は適当に捲るだけ、おもちゃなども本来の遊び方で遊ぶことが出来ず、「次郎くんは何して遊ぶのが好き?」と他者から聞かれても答えることが出来ないほど、興味の世界が狭く何も出来ませんでした。コンサルを通して、遊びもABAで教えることが出来るということを知り、色々な遊びを教えてきました。

その中のひとつに動画にも上げたブロック遊びがあります。ブロック遊びは、ブロックを横に並べることしか出来ない状態からのスタートでした。なので、最初は数個のブロックを真似してくっつけたり重ねたりするところから徐々に個数を増やしていき、ブロックが入った箱の中から自分でピースや色を探す、説明書を見ながら1人で作る、色々なブロックでバリエーションを広げるなど、ブロック遊びと言えど覚える工程は沢山あったので長期間にわたって地道に教えていきました。最初の方はやりたくないから癇癪を起こすことも多々ありましたが、ブロック遊びに興味を持ち始めると癇癪を起こすことは徐々に無くなっていき、覚えるスピードも早くなっていった気がします。

息子の次郎は現在小学生になりました。ブロック遊びは良い余暇になっています。動画のブロックははめるのに少し指先の力がいるのですが、年長の頃には楽しんで遊べる様になりました。動画を撮った後に気づいたのですが、今までの次郎だったら見本に忠実に同じ色で作る所を、自分の作りたかった色で作り上げているところにびっくりしました。

幼稚園で作った鳥

このブロックには思い出がありまして、まだ幼稚園に通っていた頃にお迎えにいくと、担任の先生が「これ、次郎くんが作ったんです!」と、嬉しそうに作品を持ってきてくれました。家にあるブロックの本に載っていた鳥なのですが、当時の次郎には難易度の高いものでした。幼稚園は家と違って説明書や本もないですし、ブロックも箱にドンっと入ってるだけです。そして周りでお友達が沢山遊んでいますので、家と違って環境もとても賑やかです。その環境の中で普通に遊べたということにとても嬉しく感じました。また、お友達も次郎くんすごいね!と褒めてくれたことも嬉しかったです。

「興味が最初なくても、覚えていく過程で好きになったりすることはあります」と、上原さんに教えていただき、本当にその通りだとおもいました。

今はブロック遊びを筆頭に、パズル、塗り絵や粘土、スイッチのゲーム、スクラッチアート、映画鑑賞など色々な楽しめる遊びや趣味が増えてきました。好きな遊びが沢山あることに越したことはないと思いますので、これからも次郎の遊びのバリエーションをどんどん増やして毎日を楽しく過ごすことが出来ればと思います。

コンサルタントより

ABAにより指示を出せばおもちゃを何とかやってくれる、というところまで持っていくところに時間をかけていただきました。できるようになった後は、あまり声を出さないように、また途中でやめてどこかへ行かないようにやってもらうところを目指しました。そこまでいくと、次郎くんのお母さんからは「言えばなんとかやるんですけど、例えば宅配便の方が来るなど私がその場から居なくなって戻ってくると部屋を飛び回っているようなことが多いのですが、親が見張っていなくても有意義な時間を過ごせる、という本当の余暇スキルも教えることはできますか?」というご質問が年長さんの最初の頃にあったことが思い出されます。

大人が提示したものをこなす大人主導の時期を超えて、今は、本人の興味が深まり自身の好きなものを作って余暇の時間を過ごすお子さん主導の域までもってくることができました。ABAの中のDTTは、大人主導の色が強いことを指摘されることがありますが、それは違った解釈で、適切に実践していけばその域を超えることができるものです。

次郎くんはDTTが持っていくことができる領域を見せてくれました👏

今後も次郎くんの素敵な作品を楽しみにしています。大人に言われたものを作るだけでなく、自分が作りたいものを作ることができるようになったことは、ブロックだけに限らず、いろいろな場面で次郎くんにとって強い力となっていくと思います。