キックボードと三輪車

今月のできたよ!

2023年8月のできたよ!は、3歳の夏輝くんが、とても上手にキックボードと三輪車を乗っている様子です。

小さなお子さんにとって、キックボードや三輪車などの乗り物を乗りこなせるようになるのは、粗大運度や微細運動を促し、上半身・下半身の筋肉の発達へとも繋がります。また、バランス感覚を身につけ、何より楽しい時間を過ごせるようになることがとても大切です。

親御さんより

上原先生からキックボードと三輪車の課題をご提案いただいたのは夏輝が2歳の頃でした。

癇癪も激しく、日常生活のコンプライアンスも低く、とても乗り物を教えようとも教えられると思っていませんでしたので、課題をいただいた時の驚きはとてもよく覚えています。

どちらの乗り物も、最初は乗りたくなくて泣いていました。しばらくすると少し興味を持ち、足をのせて少しずつ進みましたが、方向のコントロールは全くできず、部屋の中だと1, 2mくらいですぐにどこかにぶつかってしまっていました。「進んで」「こっちに行こう」などの声かけには、抵抗したり、泣いてしまったりしていました。

練習を開始してから1, 2ヶ月ほど経つと、どちらの乗り物も好きになり、足でこいでまっすぐ進むことができるようになりました。三輪車は、まだこぐ力が弱かったので、とてもゆるい下り坂で練習したり、背中を押したりしていました。その後は、どちらも段々とスピードを出せるようになりました。しかし、相変わらず「止まって」等の声かけには、なかなかすぐに反応することが難しく、すぐ親の手で止められるようにスピードは出させず、親が横について走っていました。

乗り物課題と並行して、他の課題や日常生活でのABAも進め、問題行動やコンプライアンスの改善に取り組んでいました。問題行動やコンプライアンスに関しては、上原先生に特に多くの相談をさせて頂き、その都度大変親身にアドバイスを頂き、とても有り難かったです。

その後1年くらいかけて、日常生活のコンプライアンスを少しずつ改善していきました。声かけにも大分反応できるようになり、数ヶ月前に、上原先生に「今月のできたよ!の掲載いかがですか?」と言って頂きました。掲載のために、いざビデオを撮影してみると、乗れることは乗れるのですが、10秒と静かに、またはよそ見をせずに前に進むことができず、これはまだ克服点があると思い、掲載を延期して頂きました。

その後、気候の問題などでしばらく練習の期間が空き、他の課題や、日常生活でのABAを続けて、問題行動やコンプライアンスの改善に引き続き取り組んでいました。そして、久しぶりに外での練習を再開すると、日常生活のコンプライアンスが改善されたからか、より教えやすくなっており「前を向いて走るよ」「静かに走るよ」なども聞いてくれて、落ち着いて乗り物に乗れるようになりました。

上原先生にABAをご指導頂いている中で、課題自体の練習ももちろん必要なのですが、コンプライアンスが全てのスキルの基礎になっていると改めて思い、日常生活でのABAやバランスよく課題を行うことの大切さを実感しました。

現在はどちらも楽しみのために乗れるようになり、こちらに向かって走ってくる嬉しそうな笑顔を見ることができるようになりました。三輪車はどの環境でも楽しめるようになりました。上原先生のABAとご指導のおかげで、乗り物を教えることができたということ、楽しんで乗り物に乗れるようになったということは、親子ともに大きな自信につながりました。これからも、他の乗り物やその他のスポーツにもぜひ挑戦して、楽しみを増やしていけたらと思います。

コンサルタントより

夏輝くんの外遊びの幅が広がりました。キックボードも三輪車もとても上手に乗りこなしています。ここまでくるには、乗って前に進めるようになるスキル、方向転換のスキル、スピードを上げるスキル、止まるスキル、お父さんやお母さんの声かけに対するコンプライアンスなど様々なスキルが必要となります。夏輝くんとご家族は、ひとつひとつのスキルを積み上げることに丁寧に取り組んでくださいました。その結果、外遊びのレパートリが増え、楽しい時間を安全に過ごせるようになりました!

素早く動き回る2−3歳のお子さんに、大人の望むようにマナーを含むスキルを教えるのは簡単なことではありませんが、日々スモールステップをこなしていくことで確実なものとなることを夏輝くんのご成長が教えてくれます。夏輝くん、これからも新しいことに挑戦して楽しいことを増やしていってね。