みんなで練習

今月のできたよ!

10月のできたよ!は、幼稚園から小学校に通っているお子さんを持つご家族が集まって定期的に行っている般化・小集団の練習の様子です。ABAでは、スキルをしっかりと習得するためには1:1での関わりが必要であるといわれていますが、習得した後に異なる環境で力を発揮する般化が難しい場合があるともいわれています。そのような部分を克服するために、様々なアイデアを出し合って、お母さんたちとお子さんたちが取り組んでいらっしゃいます。

親御さんより

<レモンくんのママから>

近くに住むABAをされている方と、学校での様子を話すうちに、授業を想定して色々課題をしたいねと共感し合ったのがきっかけで、般化や小集団を意識した練習に取り組むことになりました。当初は音楽の授業の練習を重点的にしておりましたが、課題をするうちに、様々な鍛えるポイントやもっとしてみたい課題が増えてきて、内容が充実してきたところです。

音楽の授業の練習としてマナー良く立って歌う、歌を聴く、打楽器を演奏することを取り組んでいます。季節の歌や学校にある今月の歌を取り入れて練習しています。運動課題ではボール投げ、サッカー、ボーリング、けんけんぱなど、学校で取り組むことの多いものを頑張っています。また、さまざまな姿勢で静かに話を聞く、静かに前の人に着いて行く、など日常生活を送る上で欠かせないスキルも集団で練習しとても上手になりました。

他にも、折り紙・かるた・的当て・絵本の読み聞かせ・参加型の絵本の読み聞かせ・様々な動作模倣(準備体操や、歌に合わせて動作模倣をする)などの課題を取り組んでいます。

<悠くんのママから>

やりはじめて難しいと感じたことですが、自分の子供以外のお子さんへの強化や問題行動の介入が、事前に情報を共有していても対応に悩むことがあり難しかったです。間違った対応をしてしまってその行動が強化されてしまったらどうしようなどの緊張もありました。強化子、身体強化もそれぞれのお子さんで違うので強化するつもりであげたお菓子や関わりが強化にならないこともありました。

問題行動への介入は課題が終わった後に今の対応でよかったか、この時にどうしたらいいか迷ってしまったなど話し合い、次に繋がるようにしています。強化子についても事前に今ハマっているお菓子や身体強化のポイントなどの情報をこまめに共有しています。また集団となると問題行動への介入をどこまでするかも悩みました。一対一ではやり直しになる問題行動も集団ではやり直しが難しい場面があり悩むことがありますが都度コンサルで上原さんに相談させていただいてアドバイスをもらっています。

<奈々ちゃんのママから>

皆さんと取り組んできて良かったなと思うことは、それまで各家庭で個別に取り組んできた課題を、般化・小集団として取り組むことで、より確実なスキルとして身につけることができることです。そして、お互いの子供の強化ポイントや問題行動の情報を共有することで、親同士がお互いの子供の行動に目を光らせ、一貫した対応ができるようにしています。

般化・小集団練習をするまで子供たちは、自分の親以外の大人に強化や消去されるという機会は少なかったのですが、般化・小集団練習ではお互いの子供を分け隔てなく、強化や消去をするようにしています。これは子供にとってはとても有意義ですし、親からしてみれば、他のお子さんへの対応を通して、普段の自分の対応への気付きが出てくることがあるので、親にとっても貴重な機会になっています。
また、園や学校ですと、一貫したABA的介入をしたくても、流動的になってしまうことがありますが、般化・小集団練習では参加している全員がABAをしているため、決して流動的にはならず、気兼ねなくABA的な介入をすることができるので、たいへん有意義な時間になっています。

その他に、他のご家族と情報交換ができるので、としてもありがたく思っています。使ってよかった強化子、おすすめの教材、園や学校のお話などの情報を共有したり、意見交換をして、日々の療育に活かしています。また、時には、療育や療育以外の悩みや、自分の気持ちを話したりして、励まし合っています。話すことで気持ちが軽くなったり、励まし合うことで気力が湧いてくることが多くあります。
子供の療育を通して、このような仲間に出会えたことはとても幸せなことです。

これからも般化・小集団練習を大切にしていきたいです。

コンサルタントより

幼稚園や小学校などの集団生活の場では、やらなかったことや、難しいことを繰り返し練習する場がなかなかありません。指示が一度で入りづらい状況、まだ習得してないスキルが必要な状況、あまり気がのらないことはやりたくない場合など、理由は様々にあると思いますが、ABA的な関わり方をできるだけ取り入れて小集団で練習をしていったり、普段は関わらない他の大人から教えてもらうことなどをすることで、般化する力を鍛えることができます。

最初はバラバラだったり、じっとしていなかったりを経て、皆で楽器を使って演奏したり、歌に合わせて体を動かしたり、工作をするなど、とても成長を感じるご様子を拝見することができました。音楽を沢山取り入れ、年齢もスキルも性格も違うお子さんたちを一度に指導されているレモンくんのママは本当に凄いなと思いますし、場所・時間の確保や連絡を取り合ったりなど、お母さんたちのチームワークがあってこそのお取り組みだと思います。

お子さんたちの表情も、スキルの向上と共に、ニコニコと楽しそうにしている姿を見ることができて何よりです。今回参加してくれたご家族以外にも、同じような取り組みをされている方々がいらっしゃいます。これからもこのような機会を大切に、皆で少しずつ前へ進んでいけるといいなと思います。