鉄棒

今月のできたよ!

2024年最初の投稿となる2月のできたよ!は、年長のマーベルちゃんによる鉄棒の様子です。鉄棒は小学校の授業では、必ずといっていいほど経験することになります。鉄棒のスキルをつけるには、握力や腕の筋力、腹筋、体幹などが求められますが、日常の自然な動きの中ではなかなか身につけることが難しいため、それぞれのお子さんに必要な基礎スキルを鉄棒課題の前に行ってもらうこともあります。

親御さんより

マーベルが 鉄棒課題に取り組み始めたのは4歳8ヶ月のときでした。登園を拒否し、起床時から始まる泣き癇癪、嘔吐、お漏らしで 幼稚園に通える状態ではなかったため、上原先生のご指導のもと幼稚園を一時的にお休みし、自助スキルの習得や様々な課題に取り組み、出来ることを増やすことに専念していました。

鉄棒は、ぶら下がることから始めました。初めは、鉄棒につかまってぶら下がることも出来ず、握り方から入り3秒から徐々に10秒以上ぶら下がれるようになるまで練習しました。次のツバメのポーズでは、鉄棒に飛び上がることを怖がっていたため、はじめはジャンプをしなくてもツバメのポーズができる台を用意し、次いで高さを増減できる1センチ厚のマットを積み重ねたジャンプ台に変え1枚ずつ減らして練習をしました。ツバメのポーズから前まわりにステップアップした際には「お腹が痛い」「怖いから回りたくない」と逆さになることを拒み泣いていました。体も小さく(身長100cm 体重12kg)腕の力も握力もお腹で体を支える力も弱かったため、上原先生にご相談をし体幹を鍛えることも並行してはじめました。バランスボールや手押し車、腹筋、雑巾絞りなども日課にすることにしました。その甲斐あって、基礎体力の向上に伴い、自ら進んで鉄棒に取り組むようになりました。逆上がりは、補助ベルトを活用し、私自身が補助板となり 練習すること2週間ほどで ひとりで逆上がりが出来るようになりました。

基礎体力作りのために、背もたれ無しの椅子を使用したり、床掃除、その他体操などに取り組んできました。その間、遊びの中で右手人差し指を骨折してしまうアクシデントに見舞われ鉄棒を始めとして運動課題が出来ない時期もありましたが、今では園庭にある鉄棒でお友達と楽しそうに遊んでいる姿を見かけます。

体幹を鍛え基礎体力がついたことが上達の近道になったと感じています。問題行動を消去しながら課題へのモチベーションを持続させることは難しく、上原先生のご支援があってこそ今のマーベルがあります。バランスよく課題をプログラムしていただいた結果、いろいろなことが以前よりスムーズに進むようにもなりました。成長の度合いに応じて、必要なスキルや消去の内容も変わってきていますが、これからも根気よく日々積み重ねていきたいと思います。

コンサルタントより

マーベルちゃんが鉄棒課題に取り組み始めたのは、年中さん中頃でした。マーベルちゃんのお母さんがこれまでの経過の様子をお伝えしてくださっているように、マーベルちゃんが、実際に逆上がりを行うまでには基礎的なスキル(握力、腕力、その他の筋力)をつけるために時間を費やしていただきました。スキルをつけていく中で、モチベーションを維持していくことが時に難しかったり、怪我のために練習がしばらくできなかったこともありましたが、前回りや逆上がりができるようになってからは、幼稚園でお友達と行うこと自体がモチベーションとなっていることは、大変嬉しく思っております。

ABAセラピーではスキルの習得を第一に目指しますが、最初は乗り気でないもの、拒否までしていたものを、モチベーションを高めながら行うことで少しずつスキルをつけていくことができます。一度自分のスキルとなった後は、そのものを楽しんだり、お友達との交流のきっかけとなったりすることが数多くあります。習得した全てのスキルを好きにならないとしても、鉄棒であれば、身体能力を伸ばすことができたり、学校の授業についていけたりすることで、必ず日々の生活の質の向上につながっていきます。

問題行動にしっかり取り組まれ、基礎スキルをつける時間を長く費やして根気良く教え続けたマーベルちゃんのお母さんのお姿にコンサルタントとしても大変励まされております。

鉄棒スキル獲得には、大きい個人差があると言われています。始めた時期や身体的スキルによって、逆上がりまでできるようになる時間は様々ですが、皆それぞれのペースで日々体力向上を目指して頑張っていってほしいと思っています。