楽しい夏休み
今月のできたよ!
2024年9月の今月のできたよ!は、6歳の蓮くんの夏の思い出です。
親御さんより
今年の夏は、就学前の最後の夏ということもあり、子供に様々な経験を体験させたいという想いから旅行に出かけました。空港に到着して飛行機への搭乗を待っている間にガラス越しに大きな真っ青の飛行機が息子の目の前を横切っていきました。
その瞬間、息子から「ひこうき!」と嬉しそうな声が聞こえたのです。小さい頃から少しでもいろいろなことに興味を持たせたいとテーマパークや動物園に水族館などベビーカーが壊れるほど連れて行っておりましたが、子供が喜びそうなところにどんなに連れて行っても、興味を示さない息子の姿に不安な気持ちが抑えきれなくなったことを昨日のことのように思い出しました。目をキラキラさせながら行き交う飛行機を見ている様子や、飛行機の中でCAさんに自分の飲みたいものを伝え、自分でテーブルを倒して準備をするなど、旅を楽しんでいる姿などをみられたことも、とても大きな収穫でした。
旅行先の農園では、ブルーベリーやトマト、ナス、ピーマン、キュウリなどを自分の手で摘んで食べ、動物園では、以前行ったときには全く興味を示さなかった動物たちに対して、今回はカバが水遊びをする様子に興味を持ち、じっくり観察していました。
あとで、帰ってきてから動物園に何の動物がいたの?と息子に聞くと、動物園のパンフレットの地図でカバ舎を指さしてカバ、ほかには?と聞くとアザラシ舎を指さしてアザラシ、と教えてくれたのです。さらに、アルパカの餌やり体験では、最初は怖がっていた息子が、次第に慣れてお気に入りのアルパカに何度も手招きをして餌をあげるまでになりました。その変化に驚きと感動を覚えました。以前は怖がっていた花火にも挑戦したのですが、今年は一人で手持ちの花火を楽しめるようになったのです。いろいろなことに興味を持ち、チャレンジしていこうという息子の姿がみられることは、ABAに取り組む前には想像できなかったと思います。
上原先生のABAにやっとたどりついたのは、4歳になってすぐでした。その頃は自分のやりたくない事をやらせようとすると、すぐに癇癪を起す状態で、外出しても行きたくない、歩きたくないとずっと泣いている状況でした。また、息子は食も細く食べられるものも少なかったので、どこかに行かなければならないときには、食べられるものを保冷バックいれて持ち歩いていました。お菓子でも果物でも食べてくれるならなんでもいい、と思っておりましたが、一体いつまでこんな生活を続けなければいけないのか、このままではいけない、なんとかしなければいけないといつも思っていました。
問題行動や食事や睡眠などの生活全般のことを上原先生にご相談したところ、「親の行動が変わらないと子供は変わらない」とご指導いただき、私たち夫婦は息子の将来を真剣に考えて、まずは問題行動への対応を第一に取り組むことにしたのですが、机上の課題は少しずつ進んではいくものの、問題行動がなかなか改善せず、私たち家族の生活は徐々に疲弊していったのです。問題行動への対処の仕方に関しても一貫性のない私たちの姿勢を子供に見透かされていたように思います。まずは息子の希望をすべて受け入れるのではなく、私たちが主導権を握ることを心がけ、今までの親としての対応を変えていく覚悟をきめましたが、毎週のコンサルでもいろいろな角度からご指導をうけても、少しずつしか変われない親であることは否めませんでした。また机上の課題ばかりを行いがちな私たちに上原先生から、アカデミックな課題や、着替えや手洗いなどの身辺自立、キックボードや自転車などの運動課題、そしてなにより遊びを習得するための課題、そのすべてをバランスよくおこなうことが大切だと何度も教えて頂きました。
そこで、遊びのスキルを習得するためパズルやラキューの簡単なものを机上課題として取り入れ、ひとつひとつ丁寧に取り組みました。始めたばかりの時は、なかなか興味を持ってくれず仕方なくやっている感じでしたので、遊びを教える難しさを痛感した日々でしたが、息子が一人でラキューを仕上げることができるようになったとき、諦めないで毎日取り組むことがどれだけ大切なのかを気付かせてもらいました。
息子がうまくできたときには大いに褒め、達成感を持たせることで、息子も自信を持つようになり、今では課題の合間にパズルやラキューを渡すと、自分で図を見ながら集中して最後まで完成させるようになりました。また、キックボードや自転車なども毎日の課題として取り組むことで、いまでは自転車の補助輪がはずれ、一人で乗ることができ、本人も楽しい時間を過ごすことができるようになりました。このようにいろいろなスキルが習得できたことは息子にとっても、親にとっても良き経験なり、また諦めずに頑張ってみようという気持ちにつながりました。少しずつ出来ることが増えて、生活がしやすくなっていったのですが、やはり食事の問題を避けて通れないと一念発起して偏食の課題にチャレンジすることにし、小さな卵焼きからはじめたのです。こんな小さな卵焼きすら全身全霊で涙を流しながら拒否する息子の姿に、心が折れそうになりましたが、このままにすると一番困るのは息子だと思い、毎日毎日卵焼きを食べられるようになるまで取り組みました。その偏食の克服の課題に取り組むと同時に、お菓子や果物など子供が欲しがるものを自由に食べさせていた状態を改めたのです。今までは「これが欲しい」と言われれば与え、「あれが欲しい」と言われれば渡してしまうダメな親の典型だったと思います。食べられるものが少なく食が細い息子に対して、食べられるものを制限することは親としてつらいことでしたが、毅然とした対応を心がけていくことで、自然と食事量が増え、徐々に食べられるものも増えていったのです。
いままで、食べられなかった白米やパン、卵料理やハンバーグ、焼きそばやパスタなども食べられるようになり、保冷バックを持たずに家族で外食を楽しめるようになったこともABAをやっていなければ絶対にできなかったことです。あんなに癇癪をおこしていた外出も、上原先生からの課題を一つずつ積み重ねていった今では、祖父母と3人で電車に乗ってお出かけし、食事までして帰ってこられるようになったこともこの夏の収穫であり、家族にとっても大きな自信になりました。机上の課題だけではなく、身辺自立や遊び、体をうごかすことなどすべてをコツコツと諦めずにやり続けることで、私たちが望んでいた息子の学びが深まり、コミュニケーションもだんだんと増えてきていることを強く感じています。
ABAにたどり着き、上原先生の丁寧なご指導のおかげで、息子にできることが増え、その成長を目の当たりにするたびに喜びを感じつつも、もしABAに出会っていなければ、上原先生のコンサルを受けていなければ、こんなにたくさんの喜びを得ることはできなかったと思います。就学に向けてまだ多くの課題が残っていますが、これからもABAを続けて息子の成長を見守りたいと思っています。
コンサルタントより
ここまでのお時間を過ごせるようになるには、日々の課題で出来ることを増やし、日々の癇癪を始めとする問題行動を減らしていくことに取り組まれた成果です。蓮くんのご両親がおっしゃられているように、ABA的な関わりをされることにお時間がかかった部分もあり、軌道に乗るまでに紆余曲折がありました。それでも、蓮くんのお父さん、お母さんは毎週のコンサルに欠かさずご出席され、フィードバックに対し、正面から向き合ってくださることを続けてくださいました。
その結果、コンサルを始めた当初から悩まれていた状況を少しずつ改善され、まだ克服点はありつつも、日々の生活が過ごしやすくなったことや、イレギュラーなスケジュールをこなしたり慣れないところへ出かけて行っても充実した時間をご家族で過ごせるようになったことをお話くださいました。
ご家族皆様で、とても充実した夏休みをお過ごしになれて本当に嬉しく思います。引き続き一緒に頑張っていきたいなと思っています。