おもちゃ遊び

2月のできたよ!

2025年2月のできたよ!は、年少さんのタクマくんの遊びのスキルとなります。

小さなお子さんを育てているお母さんにとって、ひとつのことを自分でやり遂げてくれるスキルや時間は日々の生活の質の向上、維持に大変必要です。

親御さんより

私は二つの大技を使う指導者に出会ったことがない。

仕上がりが派手な技と地味な技。(乱暴な表現でごめんなさい)

派手な方は、ローラーブレードや自転車、大繩、鉄棒、サッカーや野球など。

「できるようになりたい」という思いも、達成後のビジョンも持てていない子に対して、とうてい教えられるようなスキルではない。しかも「言語」という手段に頼らずに。

しかし実は地味な方がABAMAXの真骨頂であることをのちに体現する。日常生活をつつがなく送れるようにできる技術。状況に応じた適切な行動がとれること。 

机に座ってカリキュラム通りに物事を進めていくABA指導は受けてきた。また、タクマ主体で何をしていても優しく見守るその他の療育指導も受けてきた。指導者たちはずっと私の話に耳を傾けてくれて、みんなどこまでも優しかった。どうしてだろう、言われたことはしっかり守ってきたはずなのに、いつまでたってもタクマはモンスターのままだった。

上原先生を知ったきっかけは「派手な技」のほうだった。

1年以上前、ローラーブレードを華麗に滑る、タクマと年の近い生徒さんを見た衝撃は今でも鮮明に覚えている。早速そのお母さまにご紹介いただいて、上原先生のコンサルティングを受けられることになった。コンサルを重ねるうち「日常をつつがなく送れること」つまりコンプライアンスがABA-MAXにおいて何よりも重要であることを知る。

パズルは「派手な技」の部類に入ると思う。スキルの面はもちろんであるが、むしろ「地味な技」つまり自分の思い通りにならない状況に対して、間違った行動をしないことを徹底していただいたおかげでタクマはここまでできるようになった。

「先生、この子パズルを食べてしまうんです」から始まった。

できないとピースをかじってしまう。はがしてしまう。歯形のついた絵のないピースが日々増えてゆく。私がついていないとパズルをさせることができない。次に先生に提出したのは、海にたゆたっているような多数のパズルピースの動画だった。

「それなりの位置には置くのですが、ピース同士をぴったりはめないんです」

タクマはフレームのある板パズルが苦手だ。ジグソーパズルと違って、板パズルはどこからでもピースを置くことができる。多少のズレは気にせず次々とピースを置いていく。「多少のズレ」が後半致命的になる。あぶれるピースがでてくる。ピースの上にピースを重ねる。そしていざ一枚ずつ整えようとすると、他の大量のピースがズレてしまう。

癇癪が始まる。

それからはピースがズレることが嫌で、ただ適当な位置にピースを置くだけ。ズレると癇癪。また適当な位置にピースを置く。だから大量のパズルピースが海に漂っているような画ができあがる。

できないフラストレーションを「パズルを食べる、はがす」「ピースを適当に置く」など不適切な処理の仕方をするタクマに対し、上原先生はそれぞれたった一回のコンサルティングによって正しく取り組めるように指導してくださった。

一方デュプロで教えていただいたのはスキルのほうだ。レゴデュプロ含めブロックパズルはいくつか持ってはいたが、高く高く一列に積み上げたり、ただ延々と横に並べたりを繰り返すだけなので、倉庫に入れてしまった。今回久々に引っ張り出した2ピースから4ピースの動物デュプロから取り組み始める。きりんの首が曲がってはいけない方向に曲げられている。ぞうの鼻としっぽの区別もつかない。ため息が出る。

やっとミッキーのおうちにとりかかるのだが、課題として出されていなかったら「こんなピース数できるわけがない!」と早々に投げ出してしまっていた。しかしタクマは教えていただいたやり方で少しずつおうちを完成させてゆく。

映像でご覧いただきたいのが2か所。2階の床部分の一枚板をはめ込むシーンと、模様のあるブロックを正しい位置で置くシーンだ。(2階部分の白い4つのピースです)上原先生にご指導いただきながら、ここは何度も繰り返した。私にはなぜタクマができないのか分からなかった。

パズルはコンプライアンスが足りなかったから。デュプロはタクマにあったやり方が分からなかったから。親の私だけでは未だにそれを見抜くことができなかったと思う。

以前「ご家族の声」にあった、ABAを続けていくうちに「この子を愛おしいと思えるようになった」という言葉が忘れられない。私と同じような特性のある子の親御さんなら、この子さえ…、というやりきれない感情を抱いたことがある方も多いだろう。せっかく生まれてきてくれたのに、どうして私はこんなに苦しいのだろうと。ABAは決してやさしい道ではない。けれどもあのモンスターが愛おしくなるのならば進もう。

私はABA-MAXを始めてまもなく上原先生に「この子と家で過ごすことが楽になりました」と伝えたことがある。スタート地点が壊滅的だったので、取り切れていない問題行動もあるが、タクマは変わった。

わが子を心の底から愛おしいと思えるようになること。

そんな最上のギフトが他にあるだろうか。

最後に、上原先生を紹介してくれたパワフルなママさん、ありがとう。そして上原先生、いつも丁寧なご指導と感動をありがとうございます。

コンサルタントより

タクマくんのお母さんとは、10ヶ月前にご縁あってお会いすることができました。

当初の一番のお悩みは、一日中トイレの水を流すこと、2階から物を投げるということが余暇の時間の潰し方であることを伺いました。片時も目を離すことはできないし、それでも必要な家事を行えば、本人なりの遊びを繰り返されてしまうという毎日であるということでした。

タクマくんのお母さんから今回のご寄稿文をいただいた時に、「派手な技」「地味な技」との表現をいただき、どういうことだろう?と読み進めました。そしてそれは、ABAが行う「適切なスキルを教える」「問題行動を減らす、無くす」ということに変換することができました。タクマくんのお母さんは、感じられることやご意見を気持ちよくはっきりおっしゃる方で、このユニークなご表現は「さすが!」と思いました。
この10ヶ月の間、タクマくんのお母さんご自身こそが、地味な技を使いこなし、派手な技をご披露してくださいました。パズルやデュプロ以外のおもちゃや、タブレットでの遊べるスキルを増やし、自転車、キックボード、ローラーブレードが乗れるようになりました。チームタクマは、引き続き両技を強みとして一緒に進んでいきましょう!