東京都 ティガさん

息子は1歳半の頃から保育園に通い始めました。息子が保育園に通いはじめた頃から、私は段々と同年齢の子供達との違いに気付づかされるようになっていきました。体はすくすくと順調に大きくなっていくものの、成長と共に次々と問題行動や手のかかることが増えていき、毎日癇癪をおこしては泣き続ける息子に対し、親としてどのように接していいのか悩む日々でした。

3歳の頃

そして3歳になっても、簡単なお喋りはできたものの「バイバイ」と手を振られても無反応で、「うん」「ううん」などの返事をすることもありませんでした。息子が喋る事といえば一方的に何かを要求する単語ばかりだったので、意思の疎通がとても難しく感じました。また、所構わず些細な事で泣いてばかりの息子にどのように対応していいのか分からず、毎日必死に息子の機嫌を取っていたところ、癇癪は改善されるどころか日に日に酷くなっていきました。

遊びに関しても息子の興味の幅はとても狭く、一般的なおもちゃでは殆ど遊びませんでした。その代わり、回るもの・光るもの・揺れるものを夢中で見続け、家ではいつも自己刺激行動にふけっていました。また、公園に連れて行っても、ひたすら地面の穴に小石を入れてばかりいる息子に親として戸惑うばかりでした。

3歳児健診の再検査の際に発達の遅れを指摘されましたが、担当の先生からは「今は様子見で大丈夫です」と伝えられただけでした。その頃すでに息子の事で眠れない日々を送っていた私は、やはりこのままではいけないと思い、すぐに市の療育センターを紹介してもらいました。しかし療育内容は私が期待していたものとは程遠く、結局そちらに行くことはありませんでした。その後、市の保育師さんに何度か相談するうちに、佐々木匡子先生の児童カウンセリング外来を教えていただき、その後 佐々木先生を通じてABA-MAXの上原先生と出会うことができました。

6歳 ローラーブレード

ABAコンサルが始まり最初に上原先生にご指導いただいたのは、癇癪をおこしては泣き続ける息子への対応方法でした。それまで私が行ってきた事とは180度違った為、親として気持ちを切り替えるのは大変でした。でも、それまでの対応では息子の様子が良くなることはなかったため、一日の大半を一緒に過ごす母親である私は対応を変えなくては息子も変わらないと決心しましたが、週末などたまにしか関わりをもたない夫は、癇癪対応のせいで親子の関係に溝のようなものができたらという不安が最初のうちはあったようでした。都度、不安や懸念をしっかりコンサルでお話しし、上原先生の丁寧なご指導のもと忍耐強く時間をかけて息子に向き合っていくうちに、息子の癇癪は少しずつ確実に改善していきました。

また、問題行動の見極め、というのが親としては時に難しく感じることもありました。例えば息子は、悲しいお話しを聞くとその場から逃げてしまうか大泣きしてしまうことについては、気持ちが優しい子なのかなとそのままにしてあったり、お昼寝から目覚めると毎日泣くことも、年齢的に仕方ないのかなと4歳近くまで思っていたり、同じことばかり聞いてくることに都度答えながらも、いらいらしてしまうことなどもありました。それらをいち早く、コンサルでご相談していればよかったと後で思うこともあり、親子であるがゆえに、何が適切で何が不適切なのか気づかないこともありました。

小1 夏休みの思い出

そして先生からいただいた課題をこなし、運動・言葉・アカデミック・遊びのスキルを一つ一つ身につけていくうちに、あれだけ自己刺激にしか興味を示さなかった息子が、家にいる時は、自分からおもちゃ・読書・お絵描き・ゲーム・など年相応の子供らしい過ごし方ができるようになり、また公園でもサッカーやキャッチボールを親子で楽しめるようにもなりました。「課題」として、強化子となるお菓子やタブレットをもらいたくてやっていたものが、いつの間にか自然に行いたいと思ってくれるような遊びに変わっていったのです。

またある時、私たちの判断で体操教室に通い始めたところ、集団指示が全く入らず一人で走り回ってばかりいる息子にいたたまれなくなり、上原先生に相談したことがありました。上原先生からは何事も事前にしっかり対策を立てて挑むことの大切さを教えていただき、その1年後にしっかり予定を立て、準備をして体操教室にチャレンジしたところ、今度は周囲から浮くことなく先生の言うとおりに動ける姿を見ることができました。この経験で、ABAを一つ一つ丁寧にチームで積み重ねていくことの重要さに気づかされました。

そして幼稚園については、年小の時期は家庭療育に専念し、癇癪が落ち着き、身辺自立が身についてきた年中から通うことにしました。最初の頃はシャドー付きで少ない日数から通い、成長に合わせて少しずつ日数を増やし、シャドーを減らしていきました。年中の発表会や運動会では、練習中にふらふらと歩きまわり集団行動がとれなかった為、自宅でも一緒に練習を重ね、何とか本番でこなすという状況でしたが、年長になると周りから目立つことなく、どの種目や演目もしっかり一人でできるところまで成長し、とても感動しました。小学校についても、それまでアカデミックの課題を行ってきことで、少し先取りした状態で入学することができました。その為、初めての小学校生活を落ち着いてスタートすることができ本当に助かりました。

小1 冬休みに凧作り教室に参加

 現在の息子は電車や科学や野外活動が大好きな男の子に成長しました。

これまで色々なイベントが開催されても、じっと話を聞けない息子に参加は無理だろうと諦めていましたが、今は実験教室や自然観察などに親子で積極的に参加して楽しめるようになりました。私の隣で嬉しそうに講師の方の話を聞き、質問をする息子を見ていると、これまで歩んだ道のりを思い出し、息子とこのような時間が過ごせることに心から喜びを感じています。お喋りに関しても、同年齢のお子さんと比べると少しつたないところもありますが、今では私達に対し、「お仕事頑張ってね」や 「これ凄く美味しいから、また作ってね」などの言葉をかけてくれるようになりました。家にいる時は「僕、面白いゲームを考えたから、一緒に遊ぼう」と家族をよく楽しませてくれています。

また、最初の頃、癇癪対応によって親子関係に溝ができるのではと心配していた夫でしたが、息子との間にも関係性の悪化のようなことは起こらず、むしろ癇癪が無くなり穏やかに過ごせるようになったことで、以前よりずっと親子の楽しい時間を持てるようになりました。今では先生を信じて癇癪対応をやってきて本当に良かったねと夫と二人でよく話しています。

小2 キャンプ場での水鉄砲対戦イベント

上原先生のコンサルを知った時、私はまだどうしても誰かに任せたい気持ちが強く、私自身が息子に療育を行うということについては、正直自信がありませんでした。しかし息子の為にスタートしたコンサルで上原先生のご指導を受けるうちに、私達の対応次第で息子がどんどん変わっていくことを実感し、親として中途半端な気持ちは捨てて、しっかり息子と向き合わなければいけないという思いに自分がどんどん変わっていきました。そして壁にぶつかり前に進めなくなった時も、必ず最後まで一緒に歩んでいただいた上原先生からは、ABAの知識はもちろんのこと、親として強くならなければならない覚悟や責任感をたくさん学ばせていただきました。

これからも息子と越えなければならない山はたくさんあると思いますが、一歩一歩ABAで取り組んでいけばきっと乗り越えていけるということは、これまでの息子の成長が証明してくれました。上原先生から教えていただいた知識と経験全てが、今の私たちの自信になっています。私たちのこれまでの経験や失敗、そして上原先生に出会ってからの息子の成長が、これからABAを実践していかれる皆さんのお役に少しでも立つことができましたら幸いです。