塗り絵

今月のできたよ!

5月の今月のできたよ!は、特別支援学校に通っている幸宏くんの塗り絵です。塗り絵は、微細運動や集中力を養い、クレヨンを持つことでやがては鉛筆を持つことにも繋がっていく大切なスキルです。それに加えて、創造性の成長を促したり、達成感を感じることができる遊びであるとも言われています。アメリカのファミリーレストランなどでも、お子さん連れのご家族には、席に通す前に子ども用のメニューと共にクレヨンが必要か聞かれることが多くあります。それは、食事が運ばれてくるまでの間の時間つぶしが目的です。些細な目的の印象ですが、静かに公の場で待ってもらうことはどのご家族にとっても必要ではないでしょうか。

親御さんより

幸宏は、課題を教える前はまずクレヨンなどをうまく持つことが出来ず、クレヨンを渡してもクレヨンで遊ぶ、持ってと指示をすると癇癪を起こす、机の上に紙を置くとわざとぐちゃぐちゃにするなどの問題行動が多く見られ、塗り絵をするスキルはありませんでした。最初は、クレヨンを用いて塗り絵の課題をしていましたが、塗るスキルが上達してきても、プロンプトを嫌がる、クレヨンのカスで遊ぶ、わざとクレヨンを折る、うまくできないと癇癪を起こす、集中力がすぐなくなり中々塗る動作が進まないことが多くありました。その都度コンサルでアドバイスをいただきながら問題を1つずつ解決してここまで出来るようになりました。

クレヨンできれいに塗るという基本スキルが出来上がったので、般化として就学前にはクーピーでの塗り絵を教え、就学してからはさらに塗り絵のスキルを伸ばすために、今回の動画で使用している水彩画ペンを使わせてみました。また、学校の授業に備えて絵の具の使い方も教えました。以前悩んでいた問題行動を解決した後は、どの道具を用いても最初に少しのプロンプトをするだけで、はみ出すことなく綺麗に塗ることができるようになりました。現在学校では、絵の具を使って図工をしていますが、担任の先生からもこんなにきれいに塗る子を始めてみたと言われて嬉しかったです。

こちらの動画の塗り絵は全部塗り終えるのに16分ほどかかるものでしたが、最近はこのように比較的時間がかかる塗り絵も他に気がそれることなくできるようになったので、その間に様子を見守りながら家事などをすることができるようになりました。本人も余暇として塗り絵を楽しんでいます。

コンサルタントより

初めから塗り絵課題が好きではなかった様子の幸宏くんでしたが、塗り絵の力が上達するにつれ、課題の域を超えて、達成感を味わってくれていることが伝わってきました。そのようなとき、私の子どもが小学生の頃気に入って使用していた水彩画ペンを紹介させていただいたところ、すぐに幸宏くんのお母さんはご興味を持って下さり、塗り絵スキルの幅がまた広がったと喜んでくださいました。色を丁寧に選び、黙々と塗っている様子を見て、随分とお兄さんに成長してくれたなあとしみじみと感じるものがありました。これからも幸宏くんの色彩の世界を見せてもらうのが楽しみです。幸宏くん、GO!