音読
今月のできたよ!
11月のできたよ!は、年長さんのダンくんによる音読の様子です。音読をする習慣をつけることは、書かれている文章の理解が深まると言われており、やがて黙読の速度も上がると言われています。また私が担当させていただいたお子さんで、音読を続けているうちに、良い発声練習となったり、語彙が増え、表現力が豊かになったりということがあります。
親御さんから
ABAを始めた当初(2歳2ヶ月)は無発語で、その後も暫く発する音の少ないとても大人しい子供でした。課題をやっていく中でダンから発せられる音が少し増えてきたので3歳になる頃から1音づつ音声模倣を始めました。中には発音が難しい音がいくつかありましたが、その度に教え方を教えて頂き、およそ一年後には自分から「おはよう」と言ってくれるようになりました。
音声模倣がある程度進んだタイミングで、上原先生から「平仮名を覚えていきましょう」とご提案頂きました。ダンはABAを始めた際、「〇はどれ?」たった一つをクリアするのに半年以上もかかったので、50音もある平仮名を覚えるのにどんだけかかるのか心配していましたが、約1年かけて受容から表出まで50音+濁音や半濁音等覚えた時には「コンプライアンスがよくなりましたね」と上原先生に仰って頂き、とても嬉しかったのと共に、別々に見える課題でもこういう所で繋がっているんだなと実感しました。
ただ平仮名を覚えても単語になると片言になったり、実生活ではなかなか活かされませんでした。その事を上原先生に相談したところ何点か「こうしたら…」というアドバイスを頂き、その通りに実践したところ1・2ヶ月で生活の中で使うようになりました。また、平仮名を覚えるのには1年かかりましたが、片仮名はひと月もかからずに覚える事ができました。平仮名を1音づつ丁寧にやったおかげかな、と思います。そして生活の中で文字を読むようになってから早々に、ダンは自分で本を読むようになりました。最初は途切れ途切れの文でしたが、上原先生に文を読む際の注意点等も教えて頂きながら段々と上手に読めるようになりました。
ABAをやる以前はおもちゃで遊ぶ事もなく、ほっとけばずっと引戸を開閉しているような子でした。乳幼児健診の度に聞かれる「どんな遊びが好きですか?」という質問に答えられず、勝手に傷ついていましたが、今では「読書です!」とはっきり答えられます。他の遊びにも活きていて、折り紙の「やまおり」「たにおり」や、プリント問題の簡単な説明なら読んで理解できるようになりました。
また、最近くもんへ通い始めたのですが、一人で読んで回答している姿を見て、「3年前は〇一つ選べなかった子が、ここまで成長したんだ」ととても嬉しく思います。ダンの好きなものが、迷路、パズル、サッカーに自転車とどんどん増えていています。これからも好きなことを沢山作っていって欲しいと願っています。
*掲載にあたり、上原先生はダンの声が載ることを気にかけて下さいました。「音声変換する?」とも仰って下さいましたが、長い間しゃべれなかった子が5歳でここまでできたよ!を観て頂きたいと思い実際の声そのまま載せて頂きました。*
コンサルタントより
ダンくんのお母さんがおっしゃっているように、受容課題はなかなか進まず、知っているものがあっても指を差してくれなかったり、新しいものを習得することにも多くの時間がかかっていたのを記憶しています。平仮名をマスターしてくれた後も、2文字から3文字の単語を読むことも、自分で読むというよりは、課題で練習をしているうちに暗記をしている、という様子が暫く続いていました。やがて、少しずつ自分で平仮名を拾って読んでいるんだなという様子が見え、ある日、本を持ってきて、お母さんに本読みをしてくれたと大変喜ばれてご報告をしてくださった時は、本当に感動いたしました。これは、ダンくんの頑張りだけでなく、ダンくんのお母さんが毎日の療育時間の中で、粘り強く教えていかれた賜物だと思います。そして、今回の掲載をご提案してくださったこと、心より感謝を申し上げます。
今回の映像の本読みの様子は、スピードが上がり、抑揚もついていて、カギ括弧の会話もとても上手に読めていて驚きました。そして、最後の「いただきます」についても、大きい文字で書かれているものは、ダンくんの声も大きくなっており、思わず笑ってしまいました!
本を読むことが好きな時間の過ごし方のひとつになったことは、宝物ですね。ダンくん、これからもいろいろな本を読んで楽しんでね!