ピアノ連弾

今月のできたよ!

6月のできたよ!は、現在小学生のはくくんのピアノの連弾の様子です。

親御さんより

ピアノを始めて8ヶ月になります。

連弾のトルコ行進曲を練習し始めたのは、3ヶ月半ほど前からでした。最初は、自分のパートの譜読みから始まりました。まだピアノを始めて4ヶ月に入る頃だったので、一番高い音を弾く息子のパートの譜読みでは、五線ではなく、五線の上の加線に書かれた高い音の音符を読むのに大変苦労しました。音がわからないと、「わからない」と言ってぐずり始めたり、回避行動が出たりするので、音符を一音一音確認し、一小節弾けたら次の一小節に進む、といったように少しずつ丁寧に進むようにしました。また、初めて見るピアノの記号もあったので、それも一つ一つ確認しながら進めました。

譜読みが終わり、自分のパートを弾けるようになってからは、2人で合わせ、それができるようになってから、3人で合わせて連弾の練習をしました。1人で弾くと上手く弾けるのに、2人、3人で弾くとスタッカートを忘れてしまったり、自分だけ先々早く弾いてしまったりして最初は上手く弾くことができませんでした。

連弾は、3人のパートが合わさることによって、曲が初めて完成します。そこが、連弾の面白さでもあり、同時に、難しいところでもあるのですが、他の2人は別のパートを弾いているので、他の2人の音を聴きながら弾かなければなりません。音を聴きながら弾く、のは、弾くことと同時に聴く作業をするので息子にとってはとても難しいことでした。3人で連弾の練習をするようになってからも、自分のパート練習をやったり、メトロノームを使ってテンポを確認しながら弾いたり、早く弾いてしまいがちなところは上の子にかけ声をかけてもらったりして、発表会当日まで練習方法を試行錯誤して連弾の練習をしました。

発表会当日、1人だけテンポが早くなってしまうのではないか、入退場やお辞儀はちゃんとできるんだろうか、いつもとピアノが違うから自分が弾く鍵盤の場所がどこかわからなくなるのではないか、など息子にとって初めての発表会だったので、いろいろな不安がありました。
そして、いざ本番。発表会用のスーツを着て、舞台袖から舞台に一歩踏み出し歩き始めた息子は緊張した表情をしていました。しかし、ちゃんとお辞儀をし、上の子たちと3人並んでピアノの前に座り、落ち着いて演奏を始め、トルコ行進曲を最後まで間違えずに弾くことができました。弾き終わって舞台袖に戻ってきた息子は、緊張がほぐれて笑顔が見られました。「緊張した?」と聞くと、「うん」と言っていました。ピアノの先生からは、「上手だったね〜。かっこよかったよ。」と褒めてもらい、嬉しそうな息子でした。一緒に連弾を弾いた上の子たち、発表会を見にきていたパパ、おばあちゃん達にも、上手だったね、とたくさん褒めてもらって、笑顔溢れる一日となりました。

ABAを始める前は、言葉も喋らず、人より物に興味を示し、同じ空間にいるのに、まるで別世界にいるように上の子たちに関心がなく、一人の世界で過ごしていた息子。その息子が上の子たちがやっているピアノに興味を示し、ピアノを習い始め、3人で一緒に大きな舞台で連弾を弾くことができ、人と音楽をする楽しさを経験できたのは、上原さんのご指導のもとABAを始めてさまざまなスキルを身につけてきたお陰です。

上原さんのABAをやってきた今は、ピアノに限らず、身につけさせたいなと思うスキルを教えることができるようになりました。息子のこれから歩む道が、他者と一緒に活動できる楽しさと笑顔で溢れるように、これからも息子のできることを増やし、息子の世界を広げてあげたいなと思います。

コンサルタントより

はくくんの発表会前に3人での連弾の様子を見せていただいた時、大変感動いたしました。はくくんのお母さんからは、「問題行動が沢山あって。。。」ということを伺いご相談を受けておりましたが、このトルコ行進曲を弾いたビデオを拝見させていただいた時に、「いつの間にこんなに上達して!!!」と感極まるものがありました。そして、発表会当日の様子も、しっかり挨拶をし、立派に曲を引き終えることができていました。ソロの曲だけでなく、3人の息を合わせなくてはいけない連弾に取り組んできた過程は、はくくんのお母さんのお言葉にあるように、ABAを駆使し、出てくる課題を丁寧、確実に克服していく連続だったと思います。はくくんのお母さんは、出来ることは全て行うとてもパワフルな方です。全く出来ていない、やらない、というところから、確実な結果を出すために日々ABA療育に取り組まれていらっしゃり、感服するばかりです。トルコ行進曲を耳にするたびに、はくくんと他のお子さんたち、はくくんのお母さんを思い浮かべていくこととなると思います。
皆さん、素晴らしい演奏を本当にありがとう!