大阪府 ハクトウワシさんのお話
待望の男の子が生まれ、私は早期教育をしようと幼稚園受験の幼児教室に通っていたのですが、明らかに息子が他の子に比べて、落ち着きがなく、言葉を発しない、お返事の「はーい」もしない、クレヨンをかじるなどなどから辛くなり、たった二ヶ月で辞めました。
上の子と比べても成長の遅さや癇癪などから本格的に悩み始めたのが一歳半でした。一歳半検診にいくにも、母子手帳の記入欄に焦りました。指差しもしないし、クレーン現象。もちろん名前を呼んでも振り向きません。保健師さんに相談しても「まだ小さいから様子を見ましょう」の一点張り。それでもなんとか「療育」と繋がり、療育施設のスタッフの方達の優しさに触れた時、本当に安堵の気持ちだったのを覚えています。しかし、居場所は獲得したものの、一番悩まされていた無発語と、癇癪に関しては日に日に追い詰められていきました。
そしてひどい癇癪に悩まされていた私は、息子を育てる自信が持てなくなっていました。マンションのエレベータに乗るのも怖く、自転車に乗せようものなら、自転車を倒すくらい泣き叫び暴れ、スーパーにいきたくても瞬間的に走って逃げる息子。ベビーカーに乗せるにも暴れまくりすり抜け、公園に連れて行っても他の家族のお弁当を食べようとしたり、他のお子さんのおもちゃをぶんどるので、連れていくこともいやになり、ましてや上の子の世話もあったため私は体力的にも精神的にも疲れ切っていました。毎日夜中まで眠れず、毎日泣きながら必死にネットで検索魔になっていました。そこで見たワードが初めて知った「ABA 応用行動療法」という言葉でした。
なんとか2歳でABAをやってくださる機関に繋がることができ高額な値段を支払い、セラピストさんに週2回来てもらっていたのですが、なんだかゆるーい感じのもので、「これで大丈夫なのか」と不安になりました。ABAでも色々あることをその時は知りませんでした。セラピストさんに悩んでいた問題行動の解決法について質問をしたものの、「最終的はその子の持っているものなので・・・」との言葉にショックを受け2歳7ヶ月で別のABAの機関に移り週2回セラピストさんに来ていただきました。私が思い描いていたABAのDTTでもあったので、息子はどんどん学習していきました。そして模範生にもなりました。しかし、そんな優等生にも関わらず、セラピストさんが帰ると家庭での行動は最悪でした。ちょうどトイレトレーニングの時期だったのですが、私がトイレに座らせようものなら暴れまくりどうにもならない状態でした。息子のことを優等生だと思っていたセラピストさんにその実態を見せた時、びっくりされていました。セラピストさんのおかげでセラピー中は頑張ってくれた息子でしたが、解決しなくてはならなかった一番の問題は、母である私へのコンプライアンスだったのです。
机上課題の進みに比べ、年齢相応の身辺自立ができていないこと、癇癪が全く治らないことに悩み続けました。そんな時にたまたま行った東京のセミナー。それが上原さんとの出会いでした。そこで名刺を貰ったのにも関わらずなかなか行動にうつせなかったのです。それはセラピストさんが来てくれないことに不安を感じたからでした。今までセラピストさんに来てもらうということを絶対条件にしていたのでその頃の私は行動にうつせなかったのだと思います。しかしたまたま上原さんのコンサルを受けているお友達がいて、「全然違うよ!」という言葉に上原さんに連絡をとりました。
3歳2ヶ月。上原さんのコンサルを受けさせてもらうことになりました。ひどい癇癪に悩まされ藁をも掴む気持ちでした。2ヶ月後に幼稚園入園が決まっていた時期でした。その時に提案されたのが「年少は園に行かず家庭療育に専念する」とのことでした。今まで、癇癪まみれの息子といる時間が苦しくて、ずっと療育機関に預けっぱなしの私にとってそれはそれは辛い提案でした。40度の高熱がでたくらいです。しかし主人にも「やるなら完璧にやろう!」と励まされ覚悟を決めたのも今でも覚えています。
癇癪対応も最初は「本当にこれでいいのかな?」と不安もありましたが、とりあえず言われたことを必死にやってみたら、なんと一週間でびっくりするくらい大きな癇癪がなくなりました。「今までやってきたことは一体なんだったのだろう?!」という感じでした。順調な時ばかりではなく、その後には紆余曲折あり、私がくじけそうになったこともありました。息子も時々ひどい癇癪が出たりすること、以前の問題行動が形を変えてやってくるものもありました。しかし、上原さんの指示が常に的確で、そして、「絶対に大丈夫」という安心感が、くじけずついていくことができた秘訣でした。これはエビデンスと、経験値の違いなのだと思います。
問題行動が減ったおかげで、生活がとても楽になり、買い物にも行けるようになりました。本当に生活の質が上がりました。夢だった海外旅行にも行けるようになりました。そして上原さんに言われた通り、癇癪が減ったことで、課題もスムーズに進んで行くようになりました。なかなか進まない課題もありましたが、その場合も別のやり方を提案してくださり、克服することができました。自然と、「できないこともスモールステップや別のアプローチでやっていけばできるようになるんだ」という自信につながりました。
そして何より、私が一番嬉しかったこと。
それは本当の意味で、息子のことを「愛しい」と思うことができたことです。一度は本当に「育てられない。どこか施設に預ける」ということを真剣に考えたくらい、息子のことを大事と思えない時期がありました。誰もが我が子なんだから愛しくて、可愛いのが当たり前と思うのに、それを心底思うことのできない自分をどれだけ責めたことでしょうか?本当に辛かったです。しかし、あの時、本当に選択を間違えずに良かったと心から思います。
色々特性もあり、苦手なことは今でも多い息子ではありますが、ありのままを受け入れ、本当の意味で今は私にとってとても可愛く愛おしくて仕方のない息子になりました。この様な気持ちになれたことについて、上原さんには感謝でしかありません。息子のコンサルのみならず、私自身のサポートをしてくださり、良き理解者でした。3年間という長いコンサルを卒業し、今ここからこそが本当のスタートだと思います。今までとは違い、対人関係で悩むことも増えるかもしれませんが、今まで学んだことを忘れずに私なりに進んでいきたいと思います。
上原さんの正しいABAに出会わなければ、今の私たち家族はなかったと思います。また、ABAにはたどり着いていたものの、上原さんに出会うまでとても長い時間がかかり、紆余曲折ありましたが、適切な時期に正しいABAを始めることができたことは本当に良かったと感じております。
同じ悩みを持つご家族が、少しでも早く正しいABAに出会えますように。
本当にありがとうございました。